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といいつつ、国木田しか出てこない。
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「待っ…!!!」
ベットの上で目を覚ます。夢か。
僕には見せない笑顔でキョンの隣を歩いて去っていく谷口。
キョンもそれを望んでいたら僕には止める権利なんてありはしないのに。
「待って」なんか言えるわけない。
あぁ、僕にとっての悪夢。谷口にとっては文字通りの『夢』?
もう一度寝ようと思ったが目が覚めて…頭が冴えて眠れない。
キミを想って眠れないんだ。
行かないで。去っていかないで。僕から離れていかないで。
キミが必要なんだ。誰よりも。
体は奪った。そう、無理やりに。
でも気持ちは掴めない。体は掴んでも心は掴みきれずに零れていく。砂のようにサラサラと。
空気を掴むように無駄な行為を続けている。
わかってる。一番馬鹿なのは僕だ。
素直に好きとも言えないで全てを求めている。求めて求めて弱みで脅して体を貪って。犯している。
好きな人を傷つけて…体を傷つけて心を傷つけて。
僕は実際、何を手に入れたのだろう?
快楽?悦楽?喜び?
何よりも得たものは虚無感か?
「はは…」
乾いた笑い。
涙なんかは出てこない。
僕は病んでいる。
次に手に入れるのはなんだ?何か手に入れることが出来るのか?
何をすれば一番欲しいものを手に入れられるのだろう?
谷口に優しく接する?今更?そんなことしても、もう無駄だ。
きっともう何をしても無駄なんだ。一番欲しいものなんか手に入らない。
「好きだよ」
優しく囁くことも目の前に相手が居なければ容易く出来る。
どこの天邪鬼だ、僕は。
好きだ好きだ好きだ……好きなんだ。
狂おしいくらいに。
僕はキミのせいで狂うのなら本望なのかもしれないな。
キミは僕で狂ってくれるだろうか?
いつの間にか気付かないうちに爪を噛んでいた。
僕の血の色はまだ普通の人間と同じように赤かった。
じんわりと口内に広がる血の味。
谷口との初めてキスの味。それすらも愛しい。
もう好きとか嫌いとか超越してるのかな?
おかしいな、さっき狂おしいくらいに好きだって考えていたばかりなのに。
ああ、考えがまとまらない。
とりあえず言えることはこれだけ。
「愛してるよ」
届かない言葉を呟いて明るんできた空を見上げた。