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涼宮ハルヒシリーズの2次制作サイト。鈍感なキョンを愛でています。 BL要素満載なので間違って入ってきた人は回れ右です。古キョンだらけですが、国木田×谷口も少々あります。 当サイトはリンクフリーです。相互も大歓迎です。 リクエストなども受け付けておりますので拍手かメールフォームよりお気軽にどうぞ。
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タイトルの通り、古泉がキョンへの想いを自覚する話。
古泉は別に最初から男好きなわけではないと思ってる。
キョンだから好きになった、と。


以下、ss本文は「続きを読む」から。

いつも通りの文芸部室。SOS団の活動場所。
涼宮さんは朝比奈さんを連れてどこかへ出かけている。
僕は彼とボードゲーム。
長門さんは椅子に座って読書。
現在の僕の一番の使命は涼宮さんの機嫌を損なわないようにすること。そのために『古泉一樹』を演じている。
そんな日常。
本当にいつも通りだったはずなのに今日という日は僕の世界を変えてしまった。

パチ。パチパチパチパチパチパチ
オセロの駒がどんどん裏返しにされる。ああ、この試合も負けるんだな。
彼は不機嫌そうな顔をしている。試合に勝っているというのに不思議なものだ。
オセロに飽きてしまったのだろうか。何か他の物を持って来た方が良いだろうか。
なにせ彼は…
「おい」
「あ、はい?」
いけない。ますます不機嫌な顔をしている。
「お前、もっと強くなれんのか。勝ってばっかりでもつまらん。俺はハルヒじゃないんだ。
 勝つのは嬉しいが勝ち負けが決まっているような勝負を延々とやるのは最早苦痛なんだが」
そうか。自分のボードゲームの弱さに対して不機嫌になっていたのか。
「そうおっしゃられましても…」
実際、弱いのだから仕方ない。オセロだけでなく、他のゲームも自分は弱いのだ。
頭はそんなに悪くないと思っているのだけれどこればっかりはしょうがない。
「これだけやってもちっとも強くならないってのも一種の才能だね。まったく」
彼はやれやれとばかりに溜息をつく。
パチ。パチパチ
「あなたに嫌われてしまったら僕はどうなってしまうのでしょうね」
彼は涼宮さんのお気に入りだ。
彼に嫌われて、彼がどうしても僕と一緒にいたくないと彼女に言えば僕はSOS団から脱退させられるだろう。
それどころか、この世界からいなくなれと思われて僕は消えてしまうかもしれない。
彼女にとっての僕の価値なんて彼に比べたらそんなものだろう。
こんなことを考えているとは思わせない、張り付かせたような笑顔で言ってもどうせ彼のことだ。
『何言ってんだ、お前』とか『また変なこと言い出したな』程度のことしか言われないだろう。
しかし、この一言が僕にとって本当に、一生を変えることになってしまう。そんなこと、この時には夢にも思わなかったけれど。
一瞬きょとんとした彼が言った。
「なんだ、お前。嫌われたら…って考えたってことは今は俺に好かれてると思ってんのか?」
パチ。パチパチパチパチ
思わず彼の顔を凝視した。
その顔は呆れているようだ。でも、少し…少し笑ってもいるようで。
ドクッドクッ
なんだこれは。血液が流れていることがわかる。この感情はなんだ。嬉しく感じるなんて。
彼がこちらを見て不審そうな顔をしている。返答が無いのがおかしいと思っているんだろう。
ほら、彼が質問しているんだ。答えなくては。しかし、なんと返答すればいい?
『おや、違いましたか?』『思っていませんよ、そんな自惚れたこと』なんだ?なんて言うのがいい?何が正しい?わからない。
「は…あ」
出てきたのは肯定とも否定とも取れない言葉。
馬鹿!なんのためにいつもの『古泉一樹』を演じているんだ。
動揺してもいつも通りにいるためだろう!
パチ!パチ
「歯切れ悪いな。いつもならもっと長々と説明したりすんだろ」
ほら、彼も変に思っているじゃないか。
しかし、不審そうな顔では無くなり苦笑しているだけのようだ。
「すいません」
その言葉しか出てこなかった。出せなかった。
「まあいい。別にお前の長ったらしい解説を聞くのが好きなわけじゃない」
笑顔を取り繕う。自分の今の感情を押し殺して。
動揺してるなんて感じさせるな。彼に変だと思われるな。
パチ。パチパチパチパチパチ
「さて、この勝負も終わりだな。次はなんか違うのやるか?」
頭を冷やしたい。今の心境はそれだ。
「すいません。今日はこれで帰らせてもらいます。涼宮さんにもそうお伝えください」
「え?おい。古泉?」
バタン
今の自分は不自然だっただろうか。不自然だったに決まっている。
ドアの向こうから
「なんだ、あいつ…」
と言っている声が聞こえた。


気付いてしまった。
彼の呆れているようで、でも笑っているような顔…
自分は彼に嫌われてはいないのだ。
どうすればいい?
それがとてつもなく嬉しかった自分はどうすればいいのだ。
嬉しい…その感情はなぜ?
彼に嫌われていないと任務がやりやすいから。そんなごまかしを理性が作っていく。
でも感情がそれを否定する。違うと自分でもわかっている。自分自身をごまかせていない。
彼は涼宮さんに選ばれた人だ。涼宮さんは僕の…機関の神だ。手を出していいものじゃない。
彼は鍵だ。
どうして気付いたんだ。気付かなければこれまで通りでいられたのに。

自分は彼が好きだったのだ。

最初は正直、妬ましかった。普通の人間なのに涼宮さんを惹きつけている彼が。
涼宮さんのイライラを無意識に解消している彼が。
3年間、自分達が必死に処理していたものを一言で無くしてしまえる彼に。
見ていた。彼と涼宮さんを。使命として。いつのまにか使命としてじゃなく。いつも。
馬鹿だ。自分はとてつもない馬鹿だ。

ガチャ
「うわ、古泉。まだこんなとこにいたのか?用事はどうした?」
なぜ?なぜこの人が好きなんだろう?
そんなこと、知らない。でも、好きだ。どうしようもなく。
一度認めてしまえばその感情はとめどなく溢れてくる。どうすればいいのだ。
「まあいい。ちょうどお前を追いかけようとしていたところだしな」
追いかける…?僕を…?
「ど…うし…て?」
彼はしかめっ面をして
「やっぱ変だぞ。お前。さっきのオセロの途中からずっと顔、強張ってたろ」
どうして。動揺しても周りの人間に気付かせたことなんてなかったのに。
クラスメイト、友達、教師。みんな優等生古泉一樹で騙されてくれていたのに。
「大丈夫か?歩けるのか?何かあったのか?またハルヒ絡みか?」
『ハルヒ』その言葉で覚醒する。
「大丈夫です」
顔を取り繕って。
「大丈夫って、お前…そんな顔で言われてもなあ」
大丈夫、落ち着け、深呼吸…って、深呼吸なんかしたら動揺しているのが丸分かりじゃないか。うん。ちゃんと思考出来るようになってきた。
彼は鍵、彼はこの世界の…涼宮さんの鍵。いつも通りの自分になれ。
「心配してくださるのですか。それは光栄です」
ほら、出来るじゃないか。
「な!!し、心配って…別にそんなんじゃ…」
ああ、なんて素直じゃない人なんだろう。
「本当に大丈夫です。涼宮さんにも変化はありません。機関からの迎えが遅くなりそうなので待っているだけですよ」
笑顔で。いつもの笑顔で。
「んだよ。それなら部室で待ってれば良かっただろ」
「すいません。時間になったので出たのですが、遅れるようだとさっきメールが来まして。
 もう一度入るのもどうかと思って悩んでいたんですよ」
もう大丈夫。いつも通りだ。
「……お前が話すつもりないならそれでいい。だが、無茶はするな」
ドクン
なんてことを言うんだ。この人は。せっかく落ち着いてきたのに。
彼は鈍くて鈍くて…鋭い。
早く彼から離れたい。これ以上振り回される前に。
バイブが鳴るようにケータイの横のボタンを押す。メールが来たフリをする。
「おや、迎えが来たようです。では、失礼」
さっきの言葉は聞こえないフリをする。それでいい。
「ああ」
ぶっきらぼうな声だ。だが、そんな声が彼らしい。
振り返らない。部室のドアが閉じる音は聞こえない。まだ彼はそこにいるのだろう。振り返らない。振り返ってはいけないのだ。
歩け。この道はもうまっすぐ歩くしかない。
もう彼から僕の姿は見えないだろう。でも学校では姿勢よく、いつも通りに。
「あら、古泉君。もう帰るの?」
後ろから声をかけられる。思わずビクっとする。この声は涼宮さんだ。自分の笑顔でも最上級のものを。罪悪感を感じさせないように。
「はい。すいません、用事が入っていまして」
「そう。それじゃ、しょうがないわね。また明日ね!」
彼女は彼に向けるほどの、とびっきりの笑顔ではないが笑顔だ。
この笑顔を守りたい。そのためには今日気付いた気持ちなんて邪魔なだけだ。
気付かせないように。気付かせないように。
願わくば、一生。誰にも。

家に帰って、とりあえず泣いた。
こんなに泣いたのは『涼宮ハルヒ』について理解した時以来か。
自分の馬鹿さかげんに呆れる。頭は悪くないなんて考えていた自分がいたのに。自嘲さえ漏れてくる。
彼に対する想いが溢れる。
嫉妬、羨望、友情、仲間意識、庇護欲……そして最後に残るのは紛れも無い愛情。恋情。
ああ、なんという矛盾。感情がぐちゃぐちゃだ。渦巻く感情に任せて涙が出てくる。
彼と彼女の笑顔を思い出す。お互いに顔を向けている時の二人の笑顔。自分は中に入れない。入ってはいけない。
自分はあの二人が好きなんだ。この世界を壊すつもりなんてない。
でも、今日くらいは。自分の家でくらいは。泣くことくらい許される。
明日からは、普段と同じように過ごすから。

でも二つだけ違うことが出来てもかまわないだろう。
彼が好きで、その気持ちを自覚しているということ。ただし態度には出さない。
それと、それを気付かせた彼の呆れたような笑っているような顔は一生忘れないでいるってことだけは。

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