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玉砕覚悟の恋
01. 恋した瞬間の失恋
恋に落ちた
重力加速度が自分のところだけ大きくなったかのように速く
物理法則なんか無視しているかのように
ああ、そうか
僕は神にさえ逆らっているのだ
物理法則がねじまがっていても不思議ではないか
落ちてはいけなかったのに
この穴にだけは落ちてはいけなかったのに
そこは覗くことさえ許されていなかった場所なのに
落ちて
堕ちて
そして罪悪感
伝えること、いや、気付かれることさえ出来やしない
ああ、なんて馬鹿なのだろう
まだ落ち続けているなんて
落ちきったらそこで思いは粉砕される
それは落ち始めた瞬間に決まった失恋
02. 僕が完璧に振られるまで
許されない恋をしている
それでもはっきりするまでは好きでいてもいいだろうか
好きでいさせて欲しい
許してほしい
完璧に拒絶されるまで
知られるまで
出来るだけ気付かれないように頑張りますから
奈落の底に堕ちるまで
自分の罪が明かされるその日まで
粉々に砕け散るその日まで
その日が来るまでは彼の傍に居ていいだろうか
自分からは口が裂けても言わないと自分で自分に枷を嵌め
それを言い訳にして好きでいる
そう、砕け散るその瞬間までは
03. 一生分の片恋中
一生のうちで片想いをしている時間と
両想いで居る時間
どちらが長いか？
もちろん、大抵の人なら両想いの時間のほうが長い
しかし、１人の人しか好きになれなかった場合は？
一生を１人の人への想いで終わらせてしまった場合は？
一生分の片想い
それは人によって様々だ
僕の場合は？
一生分の片想い
一生分の恋を彼へ
長い長い時間を彼へきっと捧ぐだろう
僕の片想いの時間はなんと長いことだろう
そんな恋の真っ只中に僕は今、漂っている
04. 君が息をするたびに僕は溺れゆく
あなたの吐息を聞くたびにゴボ、と僕は息を吐く
これ以上溺れたくなんてないのに
行き場のない感情の中で息をする
苦しい
吐息のような自然な仕草…あなたの癖
そんなことを発見するたびにまた深く深く…
感情が溢れだす
その感情が苦しくて
取り囲まれて抜け出せない
抜け出そうと自分はしているのだろうか
少し心地いいなんて考えているんじゃないか？
苦しくて苦くて少し甘い
そんな場所で息をする
息をするように恋をして
堕ちて
溺れゆく
05. 瞳を閉じても耳をふさいでも
ぼんやりとしていると彼を思い出してしまう
そのイメージを振り払おうと目を瞑ったはずなのに
ますますはっきりと彼の姿が浮かび上がる
それと同時に僕に話しかけている声が聞こえてくる
耳を塞いでも当然その声が止むはずがない
周りの雑音が消えてむしろクリアに聞こえる
幻覚
幻聴
病んでいる
どうしようもない
耳を塞いでいた手を外し目を開けるとそこには現実
当たり前だ
彼がいるはずもない
自分しかいない部屋で電気を消して目を瞑り耳を塞いで眠る準備をした
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