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っポイ!という漫画の小ネタを使ってます。
知ってる人も知らない人も大丈夫です。…だと思います。
以下、ss本文は「続きを読む」から。
更新が一週間ぶりになってしまった。
申し訳ないです。
更新速度が戻るかはまだ不明です…
放課後、文芸部室のドアををノックするが、いつもならある返事が無い。
おや、誰もいないのか。珍しいものだ、と思いながらドアを開けると自分の考えが外れていたことがわかる。
誰もいないと思ったら1人部屋にいた。彼が机に伏している。
穏やかな寝息も近付くと聞こえてきた。
本当に寝ているらしい。
自分の腕を枕にして伏しているので寝顔が見れないのが残念だ。
もし顔が見れる位置なら誰もいないことだし、じっくり眺めることが出来たのに…
「…ん」
おや、起きたのでしょうか?
と思ったら顔の位置を変えただけのようだ。
横向きになって少し寝顔が見えるようになった。
自分の座る位置を変えて彼の寝顔を堪能することにする。
何分か見ているとまた彼が何かモゾモゾし出した。
「ん…ハ…ルヒ、やめとけって」
彼は寝言を言い出した。ほう。彼は寝言をはっきりと言ってしまうタイプのようですね。
新しい発見です。
しかし、涼宮さんの夢を見ているのでしょうか。
やはり彼は素直じゃないだけで彼女のことを気にかけている。
心は痛むが彼が彼女を大事にしてくれれば閉鎖空間も発生しないしこの世界も崩壊することがない。
僕の心の痛みなんて関係ない。
と考えていると、また彼が口を動かしだした。また涼宮さんについての言葉かと思ったら
「朝比奈さん…お茶、美味しいです…よ」
となんだかニヤニヤしながら言い出した。
…寝言なんですよね?
どうしてそんなに幸せそうなんですか?
彼は朝比奈さんに対して恋愛感情というものじゃなくアイドルに対する憧れのような感情を持っているように感じる。
そう思っているものの、朝比奈さんが羨ましくてしょうがない。
彼の口から僕の名前は出てこないかと彼の口元を凝視する。
「う…長門…無茶すんな」
今度は長門さんですか。
口が動いて少し自分の名前が出てくると期待した僕が悪いんですよね。
はぁ…
思わず溜息も吐いてしまいますよ。
「谷口…うっせー。国木田…これ写させて…」
SOS団ではなく男友達にまで僕の登場順位は下回るんですか…
この1年間で一番話した男はおまえだ。と言ってもらえたはずですが、あれは夢だったのでしょうか。
「朝倉っ!」
ええ!!とうとう消えてしまった人にまで僕は負けてしまうんですか??
次くらいには出る…出るはず。
と思いながら彼の言葉を聞き漏らすまいと彼に近付くが悪夢を見ているような顔で次に移らない。
「くっ」とか「うあっ」といった声は聞こえてくる。
僕の名前を呼ぶ可能性がどんどん低くなっているような気がする。
現実なら僕はあなたが朝倉さんに襲われているなら助けに行くのですが。
いえ、閉鎖空間ではないでしょうから役に立てるかは不明ですけどね。
「ふっ…」
夢が変わったようで彼は落ち着いてきた。
しかし、寝言が出る気配はない。
待てども待てども僕の名前は彼の口から出てこない。
なんだかイラついてきた。
彼の耳元に口を寄せる。
「古泉、古泉、古泉一樹」
こうなったら手段は選ばない。
なんとしてでも彼の寝言で僕の名前を呼ばせてみせる。
「うん?」
これでも呼んでもらえないのでしょうか…
「古泉一樹、古泉一樹…」
「すーすー」
…あー、どうしましょうか。さすがにむなしくなってきましたよ?
まさかとは思うが…
「少し相談があるのですが」
と囁いてみる。
すると彼は眉間に皺を寄せつつ
「古泉…顔が近い」
と言った。
一瞬嬉しかったが、むなしさが一層増してきた。
彼にとって僕は本当に邪魔なんでしょうか…
寝言でまで顔が近いと言われるなんて。
溜息がまた出てくる。
「遅れてゴメーン!!」
と涼宮さんの登場。
笑顔を取り繕う。
「ん?」
と言いつつ彼は顔をあげる。
「あー、寝ちまってたか…」
はい。寝てましたよ。ぐっすりと。寝言も言うくらいに。
耳元で言葉を呟いても起きないくらいに。
と、心の中でだけ応答しておく。
「ふあ~あ」
彼はまだ寝ぼけ眼のようだ。
涼宮さんと僕の方をキョロキョロと見ている。
「んー、古泉。おまえ、なんか今日の顔変じゃね?」
は?
「何言ってんのよ!キョン!古泉くんの顔はいつも通りハンサムよ。あんたに変とか言われる筋合いなんてないわよ!」
涼宮さんは僕のことをハンサムと形容してくださるようですが、そこに他意がないことはわかっている。
どちらかと言えば彼と口喧嘩のようなものをするのを楽しみにしているようだ。
「顔の造りについて言ってんじゃねーよ。なんか暗いと思っただけだ」
なるほど。しかし、それはあなたのせいなんですけどね。
ですが、あなたの寝言で自分の名前がなかなか出なかったので凹んでました。
なんて言えるわけも無いですし。困ったものですね。
「別に暗くなどありませんよ?」
「ん?んー。そうか…」
彼は少しまだ考えているようだったが、僕の顔などどうでも良かったらしくすぐにこの会話を打ち切ってしまった。
理由など細かく聞かれると困るので、別の話になってしまうのは構わないのですが、やはり少し悲しいですね。
と思いながらいつも通りに過ごして帰宅の時間になり、彼と並んで帰宅中。
「なぁ、古泉。さっき顔が暗かったのって、またハルヒ関係だったりするか?」
と彼が聞いてきた。
気にかけてくれていたんですか。
ふふ、そうですか。
自分に笑みが浮かんでいるのが自覚できる。
「いいえ。涼宮さんの精神は穏やかですよ」
「そうなのか?じゃあ、なんでだ?」
あなたのせいでしたが、もうそんなことは気にしません。
夢に出るよりも起きている時のあなたに心配してもらう方が何倍も嬉しいですからね。
そういえば、今では想い人が夢に出てくると言いますが、昔の方々は自分を想っている人が夢に出てくると言ったそうですよ。
さて、昨日僕の夢に出てきたあなたはどちらの意味でしょうか?
1人なので寝言を言っていたかどうかはわかりません。
出来れば今日もあなたの夢を見たいですね。
そうそう、先程は気にしないと考えましたがやはりあなたの夢に僕が出てきた方が好ましいですね。
夢で逢えるように今から祈っておくことにします。