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涼宮ハルヒシリーズの2次制作サイト。鈍感なキョンを愛でています。 BL要素満載なので間違って入ってきた人は回れ右です。古キョンだらけですが、国木田×谷口も少々あります。 当サイトはリンクフリーです。相互も大歓迎です。 リクエストなども受け付けておりますので拍手かメールフォームよりお気軽にどうぞ。
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「幸福と不安」 のキョン視点になります。
そして、これからのプロローグ的なものです。
古泉視点の時にも言いましたがこの話は原作を読んでいない方にはきついかと思います。
本格的にネタバレしていくのは次回からなので読んでいなくても今回までは大丈夫…?かなぁ。
読むのは自己責任でどうぞ~


以下、ss本文は「続きを読む」から。

ポタッ

?冷たい
寝ていたら頬に何かの感触が伝わってきた

しかし、まだまぶたが重くて開かない

次には指の感触
あん?誰だ?
思考が少しずつ回復してくる
ああ、今日は古泉の家に泊まってるんだっけ…
どうやら古泉が俺の頬を撫で回しているらしい
何やってんだか

まぁ、まだ眠いし面倒くさいので好きにさせておく

しかし、また何か冷たいものが落ちてくる
何だこれは?

「……っ、くっ。……ふっ」

声を噛み殺した…泣き声?
泣いてんのか?こいつ。なんで?
何分か過ぎてから頬にあった手が離れていこうとする
なんかムカついたからそれを掴んでやる
思っても無かったことをされたようで古泉は目を見張っていた

「なんで泣いてるんだ?」

奴の目を見てはっきりと聞いてやった
「泣いてません」なんて言い訳はさせない
古泉の顔は驚愕の表情からいつもの見慣れた胡散臭い笑顔に変わっていく
ハルヒに見せるような笑顔じゃなく苦笑だったが作っているものには変わりない
こんな顔で本当の涙の理由を言うか?
その考えは的中した
何かもっともらしい嘘を吐くのかと思ったら
「これはこれは…起こしてしまいましたか?すいません。大したことではないんですよ?」
だそうだ。
バカかこいつは。
本当に誤魔化す気があるのか?知られたくないならもっと良い言い訳考えろよ
「お前は大したことじゃないことで夜に泣くのか?声を洩らして?高校生にもなったのに?」
そのへんの奴よりは泣いたりしないことはわかっている
なんせ世界の崩壊とかを守ってる奴だ
そんな奴が夜中に泣く理由なんて大したことに決まってるだろうが
「あの…ですね」
古泉がまた何か言い繕うとしている雰囲気を漂わせながら話し出した
「お…れは、お前が泣いている理由も教えてもらえないのか…?」
思わずそんな言葉が口をついて出た
古泉の相談にも乗れない自分が悲しかった
そんなに信用されていなかったのだろうか
俺は何の能力もない一般人だから?
だから何も言ってもらえないのだろうか
そんな事を考えて下を向く
どうしたらこいつの悩みを共有することが出来るのだろうか

「僕は…怖いんです」

古泉はポツリと言った
「何が?」
言葉を続けてくれるように邪魔にならない程度に促す

「僕は今、幸せなんです」

さっきの言葉と続いているのか?
幸せで何故怖いんだ?わけがわからん

「あなたが振り向いてくれてこんな…関係になれて幸せすぎるほど幸せなんです。僕は生きていた中で今が一番幸せなんです。超能力を身に付けてからは幸せを実感するなんてことはほとんどなくてですね…幸せに慣れていないんです」

こいつは俺が自分のことを好きだと知っただけで人生で一番の幸せを噛みしめているというわけか?
…そうか、超能力者になって自殺を考えたとか言ってたか
それで自分の性格にも嘘を吐いて仮面のような笑顔を貼り付けて生活してるんだもんな
でも…俺と関係を持ってそこまで嬉しく思っているとは知らなかった
そのことは少し嬉しかった
しかし、古泉の今の顔は一番の幸せを語っているような顔ではない
一生懸命笑顔を保たせているような、そんな悲痛な笑顔だった

「慣れていなくて…この幸せは壊れるんだと確信していて。怖いんですよ」

「なんで壊れるって決め付けてんだよ!!?なんで…?ずっと幸せが続くって安心してろよ」
わからん
こいつの前提はおかしい
幸せならその幸せをずっと保っていけるようにすればいいじゃねーか
なんで最初から壊れるって決め付けてんだよ
俺に対しても失礼だ
少なくとも俺はこの関係を壊すつもりなんてない
あの時、心が痛んだ時に…こいつへの気持ちを自覚した時から
簡単にこいつと付き合うって決めたわけじゃないんだ

「夢を見るんです」
「…お前、予知夢でも見るのか?」
あの閉鎖空間で神人を倒すだけの超能力しかないと思っていたんだがな
「いいえ。そうではありません。僕の不安が現われるんです」
やはり別に予知夢ではないらしい
「その夢には僕は出てきません。あなたの隣には涼宮さんがいるんです。
涼宮さんは楽しそうな本当に楽しそうな、僕らが見守っていた中学時代では見れるとも思っていなかった良い笑顔でいるんです。
あなたの隣で笑っているんです。幸せそうに。
あなたはしょうがないな、と言いそうな…でも、優しい笑顔で彼女を見つめているんです。
2人は歩いていきます。後姿だけを僕は見ています。
あなた方は僕のことなど話題にもしません」
こいつは俺とハルヒの関係を疑っているのか?
俺とハルヒはそんなんじゃない
俺がそれに気付いたのは古泉への自分の気持ちがわかった時だった
安心させようとも思うが古泉の話はまだ続いたから邪魔をしないでおく
「次の場面では
あなたが『古泉?誰だそれは』
涼宮さんも『古泉?だれそれ?なにか変わった奴なの?』
朝比奈さんも『知りません。誰でしょうか?』
長門さんは『古泉一樹は存在を消された有機生命体』
そんなことを誰かの質問に答えているんです」

…記憶を消される、改竄される
存在を消される

それは俺にとってのトラウマだ

「なんでそんな風に不安に思ってるんだよ」

俺の声は震えていないだろうか

それはやってはいけないことなのだ
前のは仕方がなかった
俺のせいだった
だから誰も恨んじゃいない
だからこそ俺は2度とそんなことはさせない
世界改変なんてさせない
誰にもさせたくないんだ

「そうですね。僕がこの世界で要らない人だと神様に認定されてしまう可能性が高いと考えているからでしょうか」
「…ハルヒが?」
こいつにとっての『神様』はハルヒだ
いや、本当にそう考えているのかはわからんがここで言っているのはハルヒで間違いないだろう
ハルヒが世界改変を行うと思ってんのか?
わかってない
こいつはハルヒにとっての鍵は俺だと言った
俺だけがハルヒに必要だと思っているのだ
違う
ハルヒはSOS団が好きなんだ
大事に思っているんだ
それには当然こいつも入っているんだ
俺はSOS団の仲間をハルヒが消せるなんて思わない

「きっとあなたは僕を忘れる…」
なんで…
もっと自分の神様…いや、団長を信じてやれよ
それと、
「俺はお前を忘れない。俺はお前を忘れたくないからな。だから忘れない」
俺を信じろ
「お前、簡単に自分が消えるとか言うな。大体、ハルヒはSOS団のメンバーを消そうとする奴なんかじゃない。それにお前を消すなんてことは俺が許さないし、そんなことは誰にもさせない。もしも消えちまっても必ず連れ戻す。お前は俺の隣でにやけてろ。俺はお前がいるこの世界が好きなんだよ。だから今の記憶を改竄なんてされたくない。
もしお前が消えそうになったらなんとかしてやるよ。その場になってみないとわからんだろうが俺がやれる限りのことをやってやる」

古泉はポカンとしている
おい、俺がこんな決意表明をするなんて滅多にないんだからもっと真摯な態度で聞くべきだろ
「なんだ、その顔は。なんの力もない普通の奴にそんなこと言われてもしょうがない、とか考えてんのか?」
「まさか。あなたは僕とは比べ物にならないほどに特別な人間です」
お、いつもの笑顔に戻りやがった
でも、やっぱりお前は俺を特別だと思っているわけだな
SOS団に選ばれた時点でお前も同じくらい特別な奴だと思うけどね

「じゃあ、その特別な奴が言ってやってるんだ。信用しろ。俺はお前を忘れない」
お前も俺を忘れるな
わかってんのか?
「手放さない」
絶対な。

「はい。わかりました。あなたを信じます。僕は消えません」

……あー、思い返すとなんつーこと言っちまったんだ
恥ずかしい奴だな。俺。
でも、どうしても伝えたかったんだからしょうがない

「しかし…あなたがそんなことを言ってくださるなんて思ってもみませんでした。嬉しいです…」

なんで俺が柄にもないことを言ったのかというと、それには理由がある
…が、古泉にはあまり言いたくない
悟らせないためにも、ひとつ言っておこう

「ああ、そうだ。
言っとくが、お前がいる世界がつまらんと思うようになったらどうなるかは知らんからな。
お前を忘れちまうかもしれんし、いなくなっても都合がいいと思って放っておくかもしれん」

「え?」

「だから、そうならないように頑張れよ」

これくらい許せ
って、なんでいい笑顔になってるんだ?


古泉の胡散臭くない笑顔を見ながらも、俺は久しぶりに嫌なこと思い出しちまったなぁ、なんてことを考えていた

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